外国人労働者を雇用している企業の違反事例と労働問題!

外国人労働ビザ

技能実習生の受け入れ先で発生している労働問題

国も外国人と受け入れ先企業の間の労働問題について、毎日、時間を費やし1つ1つ訪問して管理している訳ではなく、労働基準監督署が労働法令違反の事業所を定期監督や申告監督などで取り締まっています。平成29年の厚生労働省の調査報告では、外国人技能実習生を受け入れている企業のうち5966件に監督を実施したところ、約70%に当たる4226件で労働基準関係法令違反が認められたとされております。この70%という数字はとても多いように見えますが、実際は全ての企業が大きな違反をしているというわけではありません。このような労働基準法令違反について悪質と判断された場合には、企業は検察庁へ送検され刑事罰を受けるリスクがあります。そうなった場合、企業名を公表されるリスクがあります。そして、このようなリスクは企業のイメージを一瞬にして低下させるものであり、容認できるリスクでは到底ありません。つまり外国人労働者がコストの安い労働力という考え方は危険であるということです。下記は技能実習生に対する労働問題のデータになっております。

  1. 労働時間・・・1566件
  2. 安全基準・・・1176件
  3. 割増賃金の支払・・・945件
  4. 就業規則・・・551件
  5. 労働条件の明示・・・541件
  6. 賃金の支払・・・526件
  7. 健康診断・・・477件
  8. 衛生基準・・・473件
  9. 賃金台帳・・・448件
  10. 法令等の周知・・・342件
  11. 寄宿舎の安全基準・・・148件
  12. 最低賃金の支払・・・92件

上記の報告データを見て頂いたくとわかる通り、労働時間に関する違反が1番多くなっており、次に安全基準、割増賃金に関する違反となっております。また、最低賃金違反は92件となっており、毎年10月に更新されているため、最低賃金でアルバイトなどを雇用されている企業様は毎年の変更に対応していかなければいけなので注意が必要です。ちなみに、ここ数年は毎年25円ずつ最低賃金が上昇しております。

具体的な違反事例1

22人の技能実習生を雇用している企業が、労働時間を記録簿で管理していたところ、この記録簿とは別に実績簿を作成し、実績簿の方には18時間以降の時間外労働を一切記録していなかった。そして、実績簿に記録されている方の労働時間については割増賃金を適切に支払っていたものの、実績簿に載っていない18時以降の時間外労働については、時給400円〜600円しか支払っていなかった。また、賃金台帳にも実績簿に記録されているものしか記入されていなかった。

この事例は18時以降の就労に対する給料が低いということに気づいた技能実習生が労働基準監督署に情報提供をしたと推測されます。これを受けて、労働基準監督署は18時以降に事業所に立ち入り検査を実施し、就労の事実とそれに対する賃金の支払い状況に関する資料を提出させたところ、記録簿と実績簿と言う2つの書類が作成されていた事実が判明しています。この企業の対応は、割増賃金の支払いについての違反と賃金台帳の不誠実な記載という違反があります。

具体的な違反事例2

1年単位の平型変形労働時間制を採用し、個々の労働者にはタイムカードを押してもらうことで労働時間を管理している企業で、技能実習生及びそれ以外の従業員合計12人に月80時間を超える時間外労働を行わせており、特別延長時間(1ヵ月当たり100時間)の適用回数も年間6回という上限を超えていた。

この事例では、三六協定を締結していたものの、その制限を大きく超える時間の労働を技能実習生に課していたという事案です。日本人労働者でも起こりうるものですが、近年は長時間労働に対する規制や監督も厳しくなりつつあり、注意が必要です。なお、2018年の働き方改革関連法の成立により、労働基準法が改正され、三六協定により労働者に時間外労働を行わせることができる時間が法律に明記されるようになりました。具体的には、原則として1カ月当たり45時間まで、年間を通じて360時間までとされています(今回の事例のような1年単位の変形労働時間制を採用し、3カ月を超える期間を定めて労働させる場合には、1カ月当たり42時間,年間を通じて320時間)(改正労基法36条4項)。例外として、三六協定で特別に定めることにより1カ月当たりの上限を45時間より伸ばすことができますが、100時間未満で設定しなければならず、年間では720時間を超えてはなりません。その回数も年間6回までです(改正労基法36条5項)。改正法の適用ですが、2019年4月1日から(中小企業は2020年4月1日から)となっています。働き方改革関連法の内容について、詳しくは、拙著『働き方改革実現の労務管理 』(中央経済社, 2018年)をご参照ください。

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